戦争や災害で喘息は治る?
喘息を持っている方にとって不安のひとつが、大きな災害に見舞われた際に薬はあるのか?ではないでしょうか。私自身も喘息を持っていますが、災害用のリュックには多数の喘息薬を入れています。大きな災害になるほど薬は安易に手に入らないという考え方があるため、喘息患者さんの多くは万が一の心構えをしておきたいものです。
しかし、実は戦争や大きな災害時というのは喘息の発作は起こりにくいものなのです。この理由は喘息と自律神経の働きに大きな関連性があります。
喘息が起こることが多いのは副交感神経が優位になった時だからです。戦争に行けば明日は自分が死ぬ可能性も高いわけですから、毎日緊張しながら心が休まる暇も無いはずです。このような環境では交感神経が働きっぱなしになり、喘息の発作は起こりにくくなります。
同じように大きな災害に見舞われると、リラックスして過ごせる人などいないはずです。家族のことが心配になったり、自宅の破損のことが気になる人が多いはず。さらに長い間の避難生活でも心や体は休まることはありません。
かなり重症化している喘息の方でも、戦争や大きな災害のような環境ではまず喘息は起こらないと考えておきましょう。万が一の際のために薬は備蓄しておくのが得策ですが、薬は無くてもあまり困ることはないといえます。
ではどんな時に喘息の発作が起こるかというと、安否を心配していた家族に再会して気が緩んだとき、避難生活が長期化してなれたときなどでしょうか。1人での避難生活が長期に渡り、将来の希望も夢もなく無気力な生活を送っている場合なども喘息発作が出やすいといえます。
喘息をお持ちの方は非常時には薬の必要性はありませんが、気が緩む時は必ずあるはずですから、万が一の際のために薬は持っていたほうが安心です。
戦争や大きな災害時のように気が張っている際には喘息が起こらないなら、日常生活でもそのような環境を作り出せば良いのです。成人している人なら仕事で無我夢中に作業をこなしている時は意外と大丈夫と感じるはずです。
子どもならスポーツや遊びを通し生活に活力を与えると、日中に気を張ったり集中して物事に取り込めるようになります。喘息の人は普段から日中にきちんと交感神経を働かせるため、少し忙しいくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
ただし、夜寝る際にはちゃんと副交感神経に切り換えないと、睡眠障害が起きてしまいます。日中はしっかり交感神経を働かせ、夜寝る前には副交感神経にスイッチを切り替えるよう自律神経を整えていきましょう。